17.泣いて泣いて泣いて


嗚呼、涙。
それでも貴方から離れられない。

初めて出会ったときから、心に焼きついた貴方。
内気な私は声をかけることも出来ず、ただ貴方の後姿を眺めては涙する日々。

暫くして。
貴方から声をかけられる。
慌てるあまり、ぶっきらぼうな返答になってしまう私。
帰ってから折角話しかけてくれたのに、と自己嫌悪の涙。

友達になった私達。
意識しているのは私だけ。
貴方の口から共通の女友達の話が出る。
その子を手放しで褒める貴方。
うまく同意できない自分が情けなかった。

会えない日が続く。
電話機の前で長時間悩む。
声を聞きたいのと、電話するのは編じゃないかという気持ち。
板ばさみになりながらも思い切って番号を押す。
「ただいま留守にしております」
脱力の涙。

そして、迎える卒業。
今までもあまりあえなかったけれど
これからは本当にもう会えなくなる。
さよならの一言もいえなくて彼の姿が遠のいていく。
お別れ。追いかけたいのに。

真夜中になる電話。
見覚えのある番号。

出会ってから沢山の涙を流した。
これからも沢山の涙を流すだろう。

今までの涙はしょっぱい涙。
これからは……きっと甘い涙。




こんな恋をもう何年もしていません。

20070310 Takami Simon

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