卒業(by:春羽伺剣)
先生は言った。 「――だね」 上手く聞こえなかった。 でも、私が此処から居なくなることはわかった。 次は何処へ行くんだろう。 ずっと一緒にいた、あの子は何処に行ったんだろう。 気付くといなくなっていた。 ずっとずっと一緒に生きてきたのに。 次に会った時、 「私のこと忘れちゃったの?」 と、あの子は私を責めるだろうか? 会うことは、あるのだろうか。 きっと会うことはないだろう。 私が迎えたのは、 幼いままで止まっていた、 自分という時間からの、卒業。
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