罪(by:春羽伺剣)

 

微笑みを浮かべたまま、やんわり俺に抱きついてくる。
黒い瞳で俺を見つめ、冷たい手で俺の頬をそっと撫でる。
俺が見つめ返すと、静かに唇を重ねてくる。
俺が軽く抱きしめてやると、腕を絡めて俺の身体を拘束する。

手に奇妙な感覚を覚える。
俺に絡みついていた腕が
  するり
と、力なく解ける。
身体が地面に崩れ落ちる。
そして……粉々になって散っていく。

俺の手にはべっとりと、赤黒い液体がこびり付いている。
金属のような鈍い臭いが鼻につく。


悪夢になり繰り返される現実。


微笑みを浮かべたまま、やんわり俺に抱きついてくる。
黒い瞳で俺を見つめ、冷たい手で俺の頬をそっと撫でる。
俺が見つめ返すと、静かに唇を重ねてくる。
俺が軽く抱きしめてやると、腕を絡めて俺の身体を拘束する。

微笑が絶えることはない。
口付けが止む日も来ない。
冷たい腕が、俺の身体を解放することもない。

裏切りの、代償。

 

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