穴(by:春羽伺剣)

 

――どこまで落ちていくんだろう。

深い……深い……。

太陽の光は遠くにちらちら光るだけ。
それはとても小さく、針の先が光っているだけのような感じ。

風を切る音さえ
落ちている感覚さえ
もうとっくにどこかに消えて

獣に喉を噛み付かれたように
  ひゅぅ
と、体から空気が抜けて

宙を掻く手が
踊るように虚しく舞う。

――どこまで堕ちていくのか。

欲望と快楽に溢れた世界の……。

 

戻る

 





(C)Copyright, All Rights Reserved, Ishindenshin, 2003-