穴(by:春羽伺剣)
――どこまで落ちていくんだろう。 深い……深い……。 太陽の光は遠くにちらちら光るだけ。 それはとても小さく、針の先が光っているだけのような感じ。 風を切る音さえ 落ちている感覚さえ もうとっくにどこかに消えて 獣に喉を噛み付かれたように ひゅぅ と、体から空気が抜けて 宙を掻く手が 踊るように虚しく舞う。 ――どこまで堕ちていくのか。 欲望と快楽に溢れた世界の……。
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