『MONSTER』

本番:2005.10.22-23
執筆:2007.10.08

2005年10月。春羽の通っている某大学の文化祭にて、春羽の所属していたサークルで舞台公演が行われました。
シナリオは当時の3年生A.S先輩の書いたオリジナルで、病院を舞台とした現代風ファンタジーでした。
シナリオタイトルは『MONSTER』。
一年の中でも、夏休み直前に入部した春羽は何も出来ませんでしたが、舞台に立たせていただきました。


*以下 シナリオの流れ(公演が終了しているのでネタバレもしています)*

幕が開くと、数人の武装した兵士が囚人“モンスター”の引渡しを行っている。
“モンスター”は猿轡をし、鎖に繋がれた状態で車に括り付けられて運ばれてくる。
兵士達が“モンスター”についての話をしていると、突然“モンスター”が暴れ出し、兵士達と乱闘。
兵士を倒し“モンスター”は逃走。兵士達は彼を追う。
※“モンスター”…兵士達の会話で「薬物の影響で自我がない、過去に二人の人間を殺めている殺人鬼」であるという説明がある

場面は一転。
道場で門下生の稽古をつけていた栗原哲雄警部と、栗原を探して柴田麻衣子巡査が登場する。
警察の二人は逃走中の“モンスター”を捕らえるべく、聞き込み調査を行っていた。
今回聞き込みを行うのは『大迫総合病院』という大きな病院。
タクシーで病院に着いた二人は、若くして総合病院の院長を務める大迫栄一郎医師に接触する。
栗原と大迫の会話から、“モンスター”が殺害した二人は共に、大迫総合病院に出入りしていた製薬会社の社員であったことがわかる。
「何も知らない」とすまなそうな顔をする大迫。その後、看護婦などを交えながら雑談をしていると、病院内に悲鳴が響き渡る。

栗原・大迫が悲鳴の聞こえた場所に着くと、そこには“モンスター”の姿。
逃げ遅れた看護婦と患者を逃がし、学生時代に格闘技をやっていたという大迫と栗原、二人がかりで“モンスター”を押さえ込む。
そこに遅れてやってきた柴田と栗原が言葉を交わして油断している隙をついて、“モンスター”は逃げてしまう。
二手に分かれて“モンスター”を探そうという大迫の提案に乗り、栗原・柴田は“モンスター”の向かった方へ走っていく。
一人残された大迫は、注射器を取り出し、小瓶に入った薬をセットし始める。
そこへ、大迫一人では危険だと大迫の身を案じて栗原が戻って来る。
注射器の中身を問う栗原に、大迫は「次に捕らえた時にすぐに打てるように、鎮静剤をセットしていた」と説明。
そして柴田が一人になっていることに気付いた大迫は、栗原にそのことを告げる。
栗原は慌てて柴田と合流するために走り出し、大迫は栗原とは別の方向へ向かう。

柴田と合流した栗原は、一つの病室に辿り着く。
そこには、ベッドに寝ている女の子を眺める“モンスター”の姿。
様子を窺っている二人とは別の方向から大迫がその病室に入ってくる。
“モンスター”に一方的な言葉をかけると、襲い掛かって来た“モンスター”を交わし、足蹴にする大迫。
見兼ねた柴田が大迫に制止の言葉をかけた瞬間を狙い、“モンスター”は再び逃走。
病室で眠っていた患者:藤枝かすみがその騒ぎで目を覚まし、「内藤先生(という名の医師)の夢を見た」と大迫に告げる。
彼女の話を優しく受け止めると、大迫は看護婦を呼び、藤枝を別の病室に移動させるよう指示する。
藤枝が病室を去ると、[藤枝が三年前から入院しており、効果的な治療がまだ出来ないこと]、
[内藤は藤枝の担当医で、同級生だったことを話し、一年前に辞表を残していなくなってしまったこと]を説明する。
慌しく入ってきた看護婦から、ある患者が発作を起こしていると報告を受け、大迫は看護婦に鎮静剤を持ってくるよう指示してその場を去る。
残された栗原は、[鎮静剤を持っていたはずなのに、看護婦に鎮静剤を取りにいかせたこと]や、[辞表を残していなくなってしまった医師]、
[医師の失踪と同時期に現れた“モンスター”]に疑問を抱き、柴田と共に署に戻る。

発作を起こした患者が安定し、仮眠を取る大迫。夢で過去の記憶が流れ始める。
 看護婦からの伝達で、院長に呼ばれた大迫。大迫の横には製薬会社の社員である菊田と矢竹がいる。
 看護婦が伝達を終わらせその場を去ると、菊田・矢竹が院長の引退だと確信を持ったような発言をする。
 院長引退を茶化すように「名残惜しく、さびしいものだ」という大迫。
 その大迫を「父親である院長に、毎日劇薬を盛っていたのにか?」と矢竹が軽口を叩き、それを菊田が制す。
 大迫は、院長になったら旨い汁を吸わせてやる、などと言ってその場を去り、院長室へ向かう。
 院長室では、大迫と同じく院長に呼び出されたもう一人の医師:内藤恭治が引退するという院長に抗議している。
 院長が内藤を宥めていると、大迫が院長室に入室。
 院長は、二人が揃ったところで、藤枝への対応・成果を見て次院長を決定すると告げ、去る。
 藤枝と内藤が同級生であることを知り、また、内藤の治療計画書を見て、自分に勝機が薄いことを確信する。
 その場を離れ、菊田・矢竹の元へ戻る大迫。二人にやり場のない怒りをぶつけると、二人から強力な幻覚剤を渡される。
 内藤を亡き者にするため、大迫はそれをコーヒーに混入させ、内藤に飲ませることに成功。
 暴行により動かなくなった内藤を菊田・矢竹に任せ、辞表を作りにその場を去る大迫。
 すると、呑気に今後の相談をしている菊田・矢竹に、動かなくなったはずの内藤が襲い掛かる。
 あっという間に菊田・矢竹を殺害した内藤。物音を聞きつけて戻ってきた大迫は愕然とする。
 タイミング悪く現れた看護婦に、「戻って来た時には既に二人は、正気でない内藤に殺されていた」と訴え、逃げるよう指示。
 看護婦はわけのわからないまま警察に通報しにその場を去る。
 大迫は一人、自分の地位の安定を確信し、笑いながら倒れる。
看護婦に起こされ、夢から覚める大迫。看護婦と共にその場を後にする。

署に戻り、資料を調べなおした栗原と柴田。情報を整理している。
[大迫は、製薬会社社員の菊田・矢竹と共謀して、父親である院長を引退に追い込む]
[院長の座に着くために、内藤を殺害しようと目論むが、失敗]
[使用した薬剤の影響で内藤は自我を失い、菊田・矢竹を殺害した]
以上三点が明らかであることを確認し、柴田と共に、再び大迫総合病院へ赴く。

大迫は藤枝の病室にいる。藤枝はベッドで眠っている。そこに“モンスター”となった内藤が現れる。
大迫と内藤のほぼ互角の戦い。“モンスター”の戦う理由であると考えられる藤枝を手にかけようとする大迫。
そこへ栗原・柴田が突入し、藤枝を救出する。
栗原が大迫を挑発。開き直った大迫は、事実を知った栗原・柴田も殺してしまえば良いだけだと言い放つ。
大迫が合図をすると、ヤクザ軍団が登場。ヤクザ軍団と戦ってるうちに逃げる大迫。隙を狙って追う内藤。柴田を生贄に栗原も大迫を追う。
栗原への怒りを力に変えてヤクザ軍団を蹴散らすと、柴田も遅れながら大迫……もとい、自分を危険な目に遭わせた栗原を追う。

大迫、携帯で警察に電話をかけて“モンスター”の捕獲を依頼する。
追いついた栗原が登場。互角の戦いの末、ドーピングを使い、栗原の腕を折る大迫。
栗原がピンチになったその時、柴田がようやく追いつき、直後、“モンスター”となった内藤も大迫に一撃加えて登場する。
激しい戦いが繰り広げられる。
圧倒的な力を見せ付けた後、ドーピングの副作用で弱体化を始める大迫。
そこをすかさず柴田が、栗原が、“モンスター”が、攻撃を加えてしとめようとする。
しかし、大迫の通報を受けてやってきた狙撃隊が、“モンスター”の捕獲に現れ、銃口を“モンスター”へと向ける。

包帯だらけで新聞を読んでいる栗原・柴田。
そこには、『大迫総合病院に逃走中の殺人犯が逃げ込み一騒動』的な記事。
納得出来ない柴田。納得行くまで追い詰めるという栗原。二人は駆け出していく。

猿轡をし、鎖に繋がれた状態で車に括り付けられて運ばれてくる“モンスター”。
「大迫総合病院で、脳死患者の臓器を違法に高額で売買しており、次は先の見込みのない患者がターゲットになるらしい」などと噂話をする兵士達。
その噂話に反応したのか、“モンスター”が突然動き出し、拘束を解こうともがく。
“モンスター”は「かすみ……」と呟くと、一度だけ大きく吼えた……。

*以上 シナリオの流れ*

上手く伝えられない点が多いですが、このようなシナリオでした。
ちなみに、春羽は看護婦の役と、最初の兵士をやりました(立ち回りという立ち回りは1回、台詞は全部で25個)。
他には、衣装作りやステージ作りの補佐、同学年の発声・活舌の指導補佐をしたくらいです。
初めての活劇で、本当に、とても良い舞台を経験させていただきました。
シナリオ・総合演出・大迫栄一郎役であったA.S先輩、ありがとうございました。

『ルームマット〜』の4万ヒットが、この舞台を終了した直後(05年11月)だったので、記念絵は彼らをイメージして描きました。
かすみちゃんはもっと美人で、大迫先生・内藤先生はもっと格好良かったです。

【了】

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