『西遊記(仮)』

執筆:春羽伺剣  2006.10.21-22

2006年10月。春羽の通っている大学の文化祭。春羽の所属していたサークルで舞台公演が行われました。
シナリオは、サークルの部室に置いてあった、過去に誰かが書いたらしい台本『西遊記』でした。
もう誰が書いたのかすらわからないその台本をリメイクし、『西遊記(仮)』というタイトルにしたのが春羽です。
殺陣指導も舞台へのイメージもあまり持たないで指揮をしなければいけない立場になりました。
殆ど指導もせず、納得のいくシナリオに出来なかったことを、今でも後悔している作品です。


*以下 シナリオの流れ(公演が終了しているのでネタバレもしています)*

幕が開くと、登場人物とは異なる「語り手」が登場する。
『西遊記(仮)』とは『西遊記』とは少し異なる話だ、と観客に告げ舞台を去る。

場面は三蔵法師が身を置いている唐の国の寺院。
稽古をしている僧の中に三蔵の姿は見えない。
稽古場へ、三蔵の父である大僧正が、三蔵を探して現れる。
稽古を中断した僧たちが、三蔵を探しに四方へ退場すると、問題児の行く先を案じて、大僧正は頭を抱える。

場面は一転。寺院のある村の中。
一人でぶらついている三蔵に、男達が喧嘩を売ってくるが、あっさり返り討ちにして追い払う三蔵。
そこへ、酒場のお姉さんが登場。酢豚を作ったから食べに来ないかと誘われ、店に向かおうとする。
が、大僧正と鉢合わせ、強制的に寺院に連れて帰らされる三蔵。拗ねながらも呆れたように三蔵を見送るお姉さん。
寺院に着き、「お釈迦様が夢枕に立たれ、お前に使命を与えられた」と大僧正から聞かされる三蔵。
最初は乗り気ではなかったが、大僧正の口車に乗せられ、最終的には意気揚々と天竺に向けて旅立つ。

大僧正に言われた通り、五行山に到着した三蔵は、封じられていた悟空を助け出し、
その後立ち寄った村で、金品狙いの人助けをし、そこで八戒と出会い、
天竺に行くにあたって避けては通れない、広く、流れの速い河で悟浄の手助けを受け、
三人の弟子を得ながら順調に旅を続けていく。

旅の途中、金閣・銀閣の姉妹に襲われ、三弟子とはぐれてしまった三蔵。
銀閣をナンパしていたところ、三弟子を倒し、三蔵を探していた金閣が現れる。
そして、金閣から三弟子の死を告げられた三蔵は怒り、金閣に襲い掛かる。
止めを刺そうとしたところに、銀閣が金閣を庇うように戻ってくる。
銀閣には手を出させまい、と、地に倒れながらも果敢に三蔵を威嚇する金閣。
そんな二人を見て、三蔵は苦し紛れに剣を下ろし、二人を見逃す。
喉が渇いた、と言い、金閣の落としていった瓢箪の口を開けると、中から死んだはずの三弟子が出てくる。

無事に三弟子と共に、旅を続ける三蔵。
世界中の妖怪をまとめているという、妖怪の中の妖怪、牛魔王の領土に足を踏み入れる。
満身創痍になって闘う一行。
しかし、牛魔王の強さは半端ではなく、三弟子は地に伏してしまう。
悟空を踏みつけながら「天竺への扉を開く鍵」と「弟子の命」の取り引きを三蔵に持ちかける牛魔王。
踏みつけられながらも、お釈迦様の命を果たしてください、と三蔵の迷いを断ち切ろうとする悟空。
迷いに迷った後、三蔵は「鍵」を手に取る。
しかしその直後三蔵は、悟空に得物を振り下ろそうとする牛魔王に不意打ちの攻撃を仕掛ける。
悟空を助け出し、牛魔王と距離を取る三蔵。八戒と悟浄もフラフラになりながら立ち上がる。
力を合わせて牛魔王を追い詰め、地面に倒す。

しかし、牛魔王に止めを刺そうとする三蔵を悟空が制し、八戒・悟浄が牛魔王を助け起こす。
何の真似だと問う三蔵に、自分たちはお釈迦様の使いであると静かに告げる悟空。
御仏に仕える身として目に余る行動ばかりだった三蔵の更正のために仕組まれたことであったと説明する三人。
一度はその事実に憤りを覚えた三蔵だが、お釈迦様の慈悲深さを知り、審判を促す。
そして、審判が下される。

場面は一転。最初の、寺院のある村。
店のお姉さんが、眠っている三蔵に近付き、起こす。
呆然としている三蔵を店に誘うが断られ、三蔵の様子の変化に首を傾げながら去る。
三蔵は、今までの出来事が事実であったと確信すると、そのことを書物に記すことを考え付く。

机に向かい、筆を取る三蔵。
その横に「語り手」が登場し、現代に伝わる『西遊記』は三蔵が書いたものであり、
書物に記した際に事実を捻じ曲げたのだ、と観客に告げ、舞台は幕を閉じる。

*以上 シナリオの流れ*

サークル史上最悪と言われた舞台でした。
舞台の完成度も低かったですが、全員のやる気も相当酷かったです。
これをきっかけに私はサークルを辞めました。

サークル用に書いたシナリオやら、未完成シナリオが残っているので、後日作品群にアップしたいと思っています。
その時に、『西遊記(仮)』のシナリオもアップするので、要約ではなく全文読みたいという方はそちらを参考にしてください。
いつアップするかはわかりませんがねw

【了】

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