堕楽 (by:春羽伺剣)

 

羽根が空を舞った。
     舞ったのは純白の羽根。

羽根と共に赤い水が散った。
     散った赤い水は羽根を汚した。

羽根が地に触れた。
     地には赤い雨が降っていた。

白い腕が地に投げ出された。
     降り注いでいた赤い雨が止んだ。

白い手は何かを掴んでいた。
     掴まれていた何かが手から滑り落ちた。

黒い羽根が落ちた。
     赤い水溜りに落ちた。

白い腕の横に影が降り立った。
     影は静かに微笑っていた。

黒い羽根を持つ堕ちた天使は
     地に広がる赤と白を見て
          楽しそうに嘲笑っていた。

 

(コメント)
殺人鬼のお話です。

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